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VAS ©2016-2026 Chie Fuyuki of Tuning Synesthesia, her friends, and students

Symbiosis through Weathering | 時間経過に伴い崩壊を通じて自然と共生する建築

Symbiosis through Weathering | 時間経過に伴い崩壊を通じて自然と共生する建築

Phase
Design
Year

2026

System (Generative Logic)
FieldVoronoi
Goal

Background
KGI25FA Kogakuin University Fall 2025
Team
Students
Students

Yukika Yagihashi 八木橋雪花

Typology
icon
Design team: Yukika Yagihashi 八木橋雪花 This project was presented on December 16, 2025, in Kogakuin University’s Information Technology course Computational Design by Yukika Yagihashi, and was later developed into her undergraduate graduation thesis.

As part of the studio, each student team selected one of the given assignments as the basis for their design prototyping. See this page for the full design studio description.

Selected Assignment: Assignment D — Undergraduate Graduation Project

背景ー建築的課題ー提案

背景

建築において環境問題への対策としては、長寿命化、省エネルギー化、耐久性向上等の技術が研究されてきた。しかし、これらの対策では新たに建築と自然との断絶という新たな問題を生じさせている。

建築的課題

世界的な大量消費社会という社会性から、効率化によって、現在の建築の課題としては都市スケール、建築物のスケールどちらでも同じような空間の繰り返しによって、空間の緩急がない。加えて、建築の固定化、効率化による周辺環境の遮断が促進されている。

提案

現代の固定的で財産を持つ生活から、”朽ちる建築”を通じて崩壊や形態の変化を受け入れ、時間経過に伴って空間を選び取るような建築の在り方を提案する。”残す”のではなく、終わることを悪としないことによって持続可能性の達成を目指す。そこで風化という自然現象に着目し建築に取り入れることで空間の変化に応じた新しい生活スタイルを提案する。朽ちる建築によって人々の暮らしを変化を受け入れた生活へと促す。

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手法

風化に着目しその中でも特にTafoniという世界各地で見られる風化現象に着目し、その形成過程を移り変わる空間へと活用するために“風化”によって各セルを隔てる境界が削れていくことによるつながりの空間が発生することでの共有空間の生成を試みた。

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上から Image of Cappadocia, Taihu stone, Tafoni, Process of Tafoni Formation,Over View of Method

デザインスキームの解説

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プロトタイプ

要点

本プロトタイプでは、転化によって各セルを隔てる境界が削れていくことによるつながりの空間が発生することで共有空間の生成を試みた。

パラメータからパフォーマンス

生成されたボロノイセルのスケールを変更することでセルを隔てる壁の削れ具合が変化し、時間経過における空間の変化を定義する。

技術的要点

ボリュームスタディ

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スタディでは、形態の「初期条件」を単純化することで、tafoni による侵食・穿孔・空隙化の進行を可視化することを重視した。山型の連続曲面形態や、片側を人工的に角ばらせ片側を地形に同化させる形態も比較検討したが、初期形状の複雑さが変化の因果関係を読みにくくするため、最終的に直方体を採用した。直方体は、風化による変化を段階的に追跡しやすく、比較の基準として適している。

集合住宅における空間構成の事例

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プランニングをするうえで従来の集合住宅についてコンパウンドと団地を参考にした。

コンパウンドとは、西アフリカのルグビンという集落では中庭を中心としたこのような構成になっており、このグループが幾つも連なることで一つの集落を形成している。、また、このグルーピングが家族構成の変化に合わせて変わっていく。

団地は、複数の住棟と道路・緑地・商店・学校などを一体的に計画した地区スケールの集合住宅地で、戦後の住宅不足と都市化への対策として公的主体(旧公団=現URなど)を中心に大量供給された。計画は近隣住区論や歩車分離、南面重視の住棟配置を基盤とし、日常の公共性(緑道・広場・プレイロット)を内包するのが特徴である。総じて、団地は「建物」ではなく“暮らしの器=地区”を設計対象にした住宅モデルである。この図のような水平な廊下に居住区がくっついているという平面計画で全体のプランとしての特徴としては同じ空間を繰り返していることがわかる。また、公共空間を棟の間等に設けられている。

この二つの集合住宅から緩やかなグルーピング、私的公共空間、公共空間という特徴を抽出する。

時間経過における空間の質の変化1

これが時間経過における平面図での変化となっている。tafoniの孔が育つように空間や動線が移り変わる。さらに進むと居室の数や輪郭が変わり、外部の侵食と緑化が進むことで、公共と私的の比率が段階的に組み替わる状態をつくる。建築は完成形ではなく、時間に応答して状態を変えるものとして扱っています。最終的には人間が使える場所は人間が使い、動植物が侵食していき共生する形になることが期待される。

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Phase1:

ポケットは、住人が自然に集まり滞在できる公共庭として機能する。この公共庭を起点に人の動きや日常行為が重なり、場所ごとに風化の速度が変化する。結果として、公共庭の周縁から空間が段階的に広がり、明るさ・通風・境界の曖昧さなど空間の質も時間とともに移り変わっていく。

Phase2:

Phase1からさらに風化が進み居室同士がくっつくなどの空間構成の変化が見られる。この風化による空間の変化によって動線も細かく変化する。また、外部からの侵食によって、緑化は進み、人の手入れによって整然としている空間と人の手の届かない場所での風化によって朽ちた空間とが共存していく。

Phase3:

さらに風化が進行すると、居住空間は点在化し、外部と内部の境界は曖昧になっていく。それに伴い、建築内に占める公共的スペースの割合が増加する。この段階では、人が利用できる場所は人が使い続け、利用が難になったスペースは植物や小動物など他の生物が占有することで、人と生物が共存する生活環境が成立する。

時間経過における空間の質の変化2

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このように各セルをで隔てる境界となる壁が時間経過によって風化していくことによって新たなつながりの空間が生まれる。

柔軟なグルーピングについて

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時間経過における家族構成や空間の変化によって居住区のグルーピングが固定されないものとなっている。この「緩やかなグルーピング」によって、固定的な関係の代わりに、曖昧な境界をもつ流動的な関係が生まれ、空間の使われ方と呼応しながら暮らしが更新されていく。

同時に存在する三つの風化のスケール

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ある一時点の建築の状態を考えると、この三つの風化の結果が混在した空間が構成されている。 マイクロな風化は、表面の凹凸や微細な穿孔として現れ、採光・通風といった環境性能を生む。さらに孔の密度や分布によって、透け方や視線の抜けが変化し、多様な視認性が立ち上がる。

ミドルな風化は、壁の部分的な崩壊や欠損を通じて、空間同士の新たな連結や回遊性を生成する。このスケールでは、公共空間の拡張や居住スペースの再編・発生が起こり、建築が「劣化」ではなく 空間性能のアップグレード として更新される段階となる。

グローバルな風化は、建築と周辺環境の境界面で作用し、外部とのインターフェイスを変形させる。これにより、敷地や風景との関係が組み替えられ、建築は周囲の環境との接続の仕方を再構築していく。

風化によって導かれる動線の変化

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ボロノイセルによる上下動線は、最短距離で目的地へ到達する「効率」よりも、到達までの“過程”を重視している。各セルのずれや迂回が生む回遊性によって、住人は自室へ向かう途中に自然と散策し、共有空間を横切り、他者の気配や活動に触れる。 これにより、偶発的な出会いや会話、視線の交差が日常的に発生し、住まいが単なる移動の器ではなく、交流と経験を蓄積する環境となる。また階段は恒久的なインフラではなく、補助的に設置される仮設的な装置として位置づける。風化の進行によってセルの使われ方や空間の連続性が変化することに合わせ、階段は移設・組み替えが可能であり、その時々の生活の重心や通行の必要性に応じて更新される。固定された動線計画ではなく、風化と生活に追従して再編される動線として、建築の変化そのものを住人が扱える仕組みにしている。

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Phase2 平面図

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