Kanna Kawada (川田花月), Wakana Higashiyama (東山和佳奈)
プロトタイプの背景と解決策のシナリオ
人間は人口密度の増加の解決法として高層ビルを考え出した。情報化する時代と共に高層ビルの数を増やし、屋上緑化や壁面緑化などの工夫をしてきたが、人口集中や都市化は解決できず、現在でも自然は破壊され続けている。また、人間主体の建築をつくり続けてことで、現代の地球は環境破壊や空気汚染が起き徐々に壊れ始めている。都市化による人口集中・自然の減少・生態系の破壊など地球上のすべての生態系にとって住みづらい場所になってしまった今、私たちがやるべきことは、自然を再生し互いに利益を与え合いながら人と生物が自然と共生できる社会をつくることである。都市化以外の方法で自然を再生することを目標とし、都市を空中に浮かせた浮遊都市を提案する。
雲のような繋がりを持った美しい形態をもつ浮遊都市 Floating Cloud City は、分散型ネットワークにより構築されたインフラによって各都市機能の自律性と都市の繋がりを両立させ、太陽光発電や換気システムでエネルギー貯蓄と熱・温度調整が可能なネルギーの自給自足な浮遊都市である。
プロトタイプアルゴリズム的機能
浮遊体表面の日射放射分析データをパラメーターとして、 雲の形態、都市のインフラ構造はそれぞれMetaball、Distributed Network Systemのアルゴリズムにより作成した。
ネットワークシステムは、コネクションとディスタンスのパラメーターを制御しネットワークの形態に変化を加える。そして、ネットワークのポイントごとにランダムにボックスを配置し変化を加えたネットワークに沿ってボックスを変化させる。最後にボックスの密度をコントロールし、レイヤーごとに変化を加える。
メタボールは、chargeというパラメーターで各点の球体の大きさをコントロールし、thresholdというしきい値で全体の繋がりをコントロールする。Chargeの値を大きくし、thresholdの値を小さくすることで付着が強い雲のような形態ができる。
自給自足を可能にする都市機能とインフラの層
主要なインフラのネットワークは大小で2種類あり、大きいネットワークが電気や水などのインフラ、小さいネットワークは人の導線として機能している。 浮遊体の中は都市施設、浮遊体より下は自給自足のための機能が備わっており、この浮遊都市は5つのレイヤーで機能が分かれている。 レイヤー1は敷地で、地上に自然を再生させ、生態系の居場所を作る。 レイヤー2は給水口として機能し、農作も行う自給自足の基盤である。レイヤー3は、植物を積極的に配置し、都市や周辺の環境を美化させる機能を持つ。 レイヤー4は、太陽光発電で集めたエネルギーを貯蓄し、水タンクを設置。さらにリラックス空間も設けたエコの基盤として機能する。 レイヤー5は、都市機能として居住空間、ショッピングモールなどの商業施設、美術館などの文化施設が混在しており、太陽光発電も行う。都市施設のコンポネントは、開口の大きさを調節し、パブリックとプライベートの空間に分けている。また、浮遊体の内部は緑化をして酸素供給や空気の浄化を行う。